「すんぶるい」と言います。50cm四方の底が目の粗いザルで、昔、集落に在った竹細工職人が作った物です。一昔前にはどこの家でもみられたザルで、その用途から、石炭産業が栄えた筑豊地方ならではの物かと、私は密かに考えています。
さて、その用途ですが、子供の頃、我が家は木桶の風呂(小判型で1/3を板で仕切って釜が据えてあった記憶、蓋有り)を使用していて、その焚き付けには石炭を使っていました。その際燃え残りがあれば冷えてから、この「すんぶるい」でふるいにかけ、使えそうなものを煉炭火鉢へ豆炭と合わせて再利用していたそうです。その後の石炭産業の衰退とともに高度経済成長期を迎え、木製の風呂もユニットバスへと代わり、いつの間にか「すんぶるい」は忘れ去られた存在になっていったのでした。
長いこと車庫の壁に引っかかっていた我が家の「すんぶるい」でしたが、今年は思わぬところから光があたりました。それは、昨年の倍量仕込んでいる、梅の土用干しに借り出されたのです。見ての通り後期高齢者の佇まいですが、何となく気合充分にも見えるのは、道具として新たな使い途を思い立った、私自身のワクワク感から来るもの、かもしれません。もちろんこれには沖縄の自然塩での梅を干すつもりでいます。